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経口摂取リエゾンサービス

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一般的な取り組み

従来からの摂食嚥下障害リハビリテーションでは、摂食嚥下障害の原因は「嚥下反射」の消失または障害にあるとみています。そのため嚥下反射の回復に焦点をあて、例として、『経管栄養→ペースト食→きざみ食→常食』というように段階を経た食事提供を行っています。この段階には誤嚥を避ける目的もありますが、かえって咀嚼に必要な筋力を低下させ、その結果口腔機能の廃用を引き起こし常食への復帰を困難にする場合が多々あります。

当院の取り組み

当院では、摂食嚥下にかかわるリハビリの取り組みにおいて、障害の原因が「嚥下反射障害」だけではなく、「咀嚼機能障害」にもあるとし、咀嚼機能の回復に焦点をあてています。「少しでも歩く機能を維持しよう」とする取り組みと同様、「少しでも口から形のあるものを食べて口腔機能を維持しよう」との考えで、①水分摂取、②離床による覚醒への促し、③自力摂取(個々人に最適な食べるタイミングでの摂取)を促す工夫、④咀嚼力をつける訓練、⑤義歯調整を含む口腔ケアを実施し、十分なスタッフ支援の下、早期から常食を召し上がっていただく取り組みを行っています。

経口常食化の概要

  • 主治医よりリスク説明を含めたICを実施し同意を得る。
  • 水分摂取を促し覚醒と食物の認知,だ液分泌量の確保、口腔運動保持に努める。
  • 姿勢を確保する(可能な限り手すりのある普通椅子を使用し、足底を床につける)。
  • 自力摂取を促すための工夫(食べ物を自力で口へ運びやすくするための道具の選定等)をする。
  • 必要な場合は入院後早期に義歯の調整(食塊のまとまりと送りこみを円滑にするため)を行う。
  • 咀嚼機能、咀嚼力を高めるための咀嚼訓練を行う。
  • 運動機能(立位・歩行訓練)のリハビリにより、さらなる覚醒レベルの上昇、排泄機能の調整に繋げる。
  • 上記ケアにより十分な覚醒と咀嚼能力が得られたのち、十分に安全性を確保しながら食形態UP(常食の経口トライ)を実施する。:初回はSTが同席し、問題なく摂食できれば3食常食へ移行する。
    (患者様の病態によっては主治医の判断により段階的な食形態を経ての取り組みを行う場合うもあります。)

経口摂取クリニカルパス

経管栄養クリニカルパス

水分摂取と経口摂取移行率

経口摂取移行群と非経口摂取移行群 FIM改善度平均(点)の比較

総提供水分量別 経口摂取移行状況

経口移行率


(2019.4~2020.9.30退院患者様対象)

GCSと経口摂取移行率

GCS合計 経口摂取移行38例・非経口摂取移行群22例

経口摂取移行者群64例 総提供水分量内訳

Basic Approach

入院時血清浸透圧

経管栄養患者 入院時血清浸透圧

非経口摂取移行群 66例 総提供水分量内訳

経口摂取移行群 90例 総提供水分量内訳

GCS別 経口摂取移行率

経口摂取患者 定期 血清浸透圧

関連学会・研修報告

日付 内容
2019年10月 第22回神奈川NSTフォーラム発表演題報告
2020年11月 ネスレ㈱ 共催講演会報告
2021年3月 ネスレ㈱協力 地域連携症例検討会報告
2021年5月 第12回 日本経腸栄養学会首都圏支部会 学術集会
一般演題 口演3『摂食嚥下障害患者を支える栄養の力』
3-1 回復期リハビリテーション病院における意識障害・摂食嚥下障害に対するアプローチ
3-4 経腸栄養管理下の脳血管障害患者におけるアウトカム評価の実態
2022年2月 北里大学病院との合同症例検討会
転院時意識障害が残存していたもののADLほぼ自立したもやもや病の一例