当院が提供する医療
概説
当院は、精神科急性期治療病棟、精神療養病棟、精神一般および認知症治療病棟を併せ持つ320床の病院です。6病棟を有し、そのうち5病棟が閉鎖病棟で1病棟が開放病棟になっています。10代から90代まで幅広い年齢層の患者さんが当院で治療を受けています。
対象疾患
統合失調症やうつ病などの気分症群はもちろん、不安症、パニック症、強迫症、ストレス関連症あるいは解離症などの各疾患、アルコール依存などの物質使用症、ギャンブル依存などの嗜癖行動症、拒食、過食などの食行動症、ASDやADHDなどの神経発達症、あるいはMCIやアルツハイマー病などの神経認知障害群など、様々な疾患に対応して外来ならびに入院治療を行っています。
外来、入院に関して
外来は予約制ですが、多い日は120名を超える受診があり、3~4名の診察医で対応しています。新患は、事前に受診相談や入院相談という形で情報を取らせていただき、日を変えての受診となっています。
入院に関して、治療期間はできるだけ短期間にしたいと考えていますが、不幸にして長期になった場合でも、積極的に退院促進を行い地域に帰す努力をしています。また、地域に戻った患者さんに対しては、外来通院ばかりでなく、精神デイケア、認知症デイケア、あるいは訪問看護などのアウトリーチサービスを活用して、地域での生活をサポートしています。
専門治療
当院では、以下のような専門的な治療も行っています。
・治療抵抗性統合失調症に対するクロザピン(クロザリル)による薬物療法。
・麻酔科医と共同して行うm-ECT(修正型電気けいれん療法)。
・MCIや早期アルツハイマー病に対する抗アミロイドβ抗体薬
(レカネマブ、ドナネマブの点滴投与(フォローアップ施設)
・医療観察法で処遇されている触法患者さんの受け入れ(指定通院医療機関)。
高齢者対策
また、高齢化する入院患者さんに対応するため、次のような治療も行っています。
・合併症に対するプライマリーケア医による内科診察ならびに治療。
・耳鼻科医による嚥下内視鏡の実施ならびに嚥下機能の評価。併せて言語聴覚士による嚥下訓練の実施。
・皮膚科医による褥瘡回診、皮膚疾患への専門的な対応。
・廃用症候群に対する理学療法士による疾患別リハビリテーション。
虐待防止の取り組み
当院では他院に先駆けて虐待防止委員会も設置しました。昨今、精神科病院で入院患者さんに対する暴力事件が発生したことは記憶に新しいところです(2023年 滝山病院事件)。
こうした不幸な事件を他人ごととせず、いつでもわが身にも起こり得ることと認識し、絶えず自身の振る舞いを自己検証していくは重要です。委員会機能を強化することで、早期に虐待の芽を摘んでいきたいと考えています。
行動制限など
当院では、患者さんの意思を削ぐような薬漬けの医療は行いません。
また、患者さんの考えを無視した押しつけの医療も行いません。隔離、身体拘束などの行動制限に関しても、最小限に止めるよう工夫しています。
研修医、実習生の受け入れ
当院では毎年、他の医療機関や教育機関と連携して、実習生を受け入れています。札幌厚生病院からは毎年2名の後期研修医を受け入れています。また、天使大学からは毎年4名×10回の看護学生を受け入れています。
さらに、毎年、司法修習生も受け入れ、病院見学や行動制限の体験実習を実施しています。
当院は、海外からの実習生も受け入れています。直近ではタイから4名の技能実習生を受け入れました。近々新たに、ミャンマーから2名の特定技能人材を受け入れる予定です。
精神医療に資する人材の教育や育成は、当院に課せられた地域貢献の一つと考えています。こうした観点に立ち、今後も継続して、スペシャリストの育成に努めてまいります。