院長挨拶
医療法人社団葵会に所属する新潟聖籠病院は、2016年(平成28年)9月1日、新潟県北蒲原郡聖籠町蓮野に開院し、7年目を迎えました。当院の理念は「地域の皆様の健康と医療に貢献できる病院を目指す」ことであり、その基本方針は、「地域の皆様に信頼され、患者様の尊厳と意思を尊重し公正な医療を実践すること、保健・福祉との連携を図り健康増進と地域医療に貢献すること、また医療の進歩を注視し職員の教育・研修を通じて診療の質の向上に努めること」と定めています。
当院の診療体制はこの数年間で整備され、現在の入院病床数は開院時の180床から240床(内訳は障碍者・一般病棟60床、回復期リハビリテーション病棟60床、医療療養病棟120床)に増加しました。新潟県地域医療構想、下越構想区域の再編の議論において2022年4月には障碍者病棟がゼロとなることが検討されていたことを受け、当院では2021年9月、一般病床60床から障碍者・一般病床60床に病床機能を変更いたしました。
また、当院は地域包括ケア病院として回復期リハビリテーション病床を60床有しています。特徴として、脳血管疾患や運動器、整形外科疾患、さらに誤嚥性肺炎を含む各種感染症治療後などの廃用症候群の患者様の身体機能、日常生活能力の回復や向上を目指し、集中的かつ効率的にリハビリテーション診療を展開しています。医師、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)のみならず、看護師、薬剤師、栄養士、相談員、事務職の全職種が一体となり、入院から在宅復帰を目指すチーム医療を行い、患者様一人ひとりに適切なリハビリテーション診療を提供しております。
当院のさらに大きな特徴として、腎臓病・尿毒症の治療法としての人工透析体制の充実があります。2020年からは、患者様のご希望により腹膜透析を選択していただける体制を整備しました。腎透析診療をさらに充実させるべく、2020年9月人工透析専用病棟を新築しました。この増築により外来透析のみならず、腎透析を受けつつ医療療養病棟に入院を必要とされる患者様を、より広く受け入れることが可能となりました。その結果、当院において透析を受けている患者様(入院+外来)は、増築前2020年8月末の90人から、2023年4月末には160人前後と大幅に増加しました。2023年5月からは透析専門の常勤医師をさらに1名お迎えし、透析を担当する専門医師は計4名に増加しました。透析体制の充実とともに、新発田北蒲原を含む下越地区のみならず、新潟県内に広く良質な透析診療を提供できる体制が確保できたと自負しています。医療法人社団葵会では当院に加えて、新潟中央透析クリニック[介護老人保健施設 葵の園・新潟島(にいがたじま)内併設]にも拠点を設けており、今後は、葵会グループ以外の透析施設とも連携を深めてまいります。
外来診療では、内科、外科、脳神経外科、整形外科、眼科、リハビリテーション科、さらには新潟大学医歯学総合病院の先生方のご協力をいただき、専門外来として、循環器、糖尿病の科目を設けています。眼科の診療においては、2022年4月から入院手術のみならず、外来手術も選択できる体制を確保しています。
4年目を迎えた新型コロナウイルス感染症に関しては、行政(新潟県、聖籠町、国土交通省新潟地方整備局)とも密接に協力し、早期から新潟県、聖籠町を中心とした下越地区の住民、職域の方々にワクチン接種事業を実施してまいりました。新潟県の要請を受け、2022年9月からは新型コロナ病床を開設し、新型コロナに感染した透析診療中、あるいは高齢などハイリスクの方々の入院診療も担当しています。このような新型コロナ感染症の診療に対し、当院は2022年12月新潟県花角英世知事から感謝状が授与されております。また、2023年5月には聖籠町西脇道夫町長から感謝状をいただきました。
当院は、新潟県、下越地方、新発田北蒲原地区、聖籠町への医療貢献を、その理念、基本方針に掲げています。新潟県下越圏域では、将来の地域医療構想を念頭に、基幹病院として県立新発田病院に急性期~超急性期、高度先進医療を中心に担っていただき、当院は地域包括ケアの一員として、新発田北蒲原医師会とも病病・病診(病院対病院、病院対診療所)連携を密にして、地域医療への貢献を続けてまいります。患者様、医療関係者、また保健・福祉を担う行政の方々には、これまで以上のご支援を賜れれば幸いであります。
令和5年(2023年)5月
医療法人社団葵会 新潟聖籠病院 院長 平石秀幸