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椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア)について

整形外科

椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア)について


―注射で治る腰椎椎間板ヘルニアもあります―

 

腰椎椎間板ヘルニアは、その多くが手術をしなくても1〜3ヶ月で自然に改善することが多い疾患です。そのため最初の段階では、鎮痛薬、リハビリ、ブロック注射などで治療することが一般的です。しかし、中にはなかなか良くならない場合があるので手術治療を選択することになります。
ところが、2018年から椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア®︎)が保険適応となり、腰椎椎間板ヘルニアに対する新たな治療選択肢として追加されました。言わばこれは保存療法と手術療法の間に位置付けられる治療方法となります。(表1)これは身体への負担が非常に少ない治療方法です。

 ①保存療法
 ②椎間板内酵素注入療法(2018年新規追加)             
 ③手術療法

(表1)腰椎椎間板ヘルニアの治療方法には大きく分けて2つから3つへ

椎間板内酵素注入療法の特徴は皮膚切開をすることなく、局所麻酔を用いて椎間板に針を刺し、コンドリアーゼ(ヘルニコア®︎という酵素)を注入して腰椎椎間板ヘルニアを融解させることです。(図1)
(解説:タンパク質を分解せずに椎間板髄核中の保水成分プロテオグリカンを構成するグリコサミノグリカン(主にコンドロイチン硫酸)だけを分解して椎間板内圧を減少させて神経の圧迫を減らす効果があります。)

(図1)椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア®︎)

椎間板内酵素注入療法は即効性のある治療方法ではありませんが約70%の治療効果があります。保険適応の治療方法です。椎間板内酵素注入療法は保存療法に効果がなかったタイプの腰椎椎間板ヘルニア(後縦靭帯下(こうじゅうじんたいか)脱出型)に行うことができます。(図2)

 a. 膨隆突出型
 b. 後縦靭帯下脱出型 → 椎間板内酵素注入療法
 c. 経後縦靭帯脱出型
 d. 遊離脱出型

(図2)4種類の腰椎椎間板ヘルニア

椎間板内酵素注入療法による副作用は非常に頻度が少ないのですが本剤によるアレルギーが言われています。そのため、2回行うことはできず、生涯に一度のみの椎間板内酵素注入療法が認可されています。他には一時的な腰痛、脚の痛みが約30%報告されています。症状観察のため一泊入院して頂きます。
新しい治療方法なので、当院のような脊椎脊髄外科の認定専門医のいる病院で行うことが義務づけられています。