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上肢疾患について

整形外科

上肢疾患について


〜よくみられる症状〜

・肩の痛み、肩が上がらない

石灰沈着性腱炎や腱板断裂、変形性関節症などの疾患が原因で、このような症状を来すことが多いです。肩が上がらないだけでなく、夜寝ている時に痛みで目覚めてしまう事がしばしばあります。レントゲンやMRIで詳しく調べた上で、関節内注射や内服・外用剤処方などを行っていきます。腱板という肩を動かす組織が切れていたり(切れていても痛みが出ない人もいます)、関節の軟骨がかなりすり減っている場合は、手術治療をお勧めすることがあります。

 

・肘の痛み

肘の外側にある骨の出っ張りが痛くなるのが上腕骨外側上顆炎で、一般にテニス肘と言われる疾患です。肘の外側から手首にかけて、スジ状に痛みが出たり、しびれのような感覚がでるという方もいます。この場所は、手首や指を伸ばす(反らす)筋肉が骨につく所ですが、仕事やスポーツで手に負担をかけすぎると、腱が徐々に傷んできて痛みが出ます。装具や注射、外用剤処方などを行い、3ヶ月程度と時間はかかりますが、良くなることが多いです。これらの治療を行っても痛みが続く場合は、手術治療をお勧めすることがあります。

 

・手のしびれ

手のひらの付け根あたりにある手根管というトンネルには、親指から薬指までの感覚を司る正中神経と、その他多くの腱が通っています。このトンネルが狭くなったり、腱の周りにある滑膜という組織が腫れると、正中神経が圧迫されて手のしびれが出ます。これが手根管症候群という疾患です。就寝時に悪化することが多く、朝起きたときに手のしびれが強くなり、手をブルブル振る動作をする方が多いです。手のしびれの原因が手根管なのか、頚椎や胸郭出口など他の疾患によるものかは、注意深く診察する必要があります。手根管症候群は装具や内服薬で改善することもありますが、改善しない場合は、手術治療をお勧めすることがあります。

 

・腱鞘炎(けんしょうえん)

腱とは筋肉と骨をつなぐ組織(鶏ささみ肉に付いている白い棒状の組織)で、腱がスムーズに動くために必要な組織が腱鞘です。腱鞘がトンネルのような構造となり、中に腱が入っています。片手には約40個もの腱鞘がありますが、指の付け根の手のひら側にある腱鞘が最も炎症を起こしやすいです。ここで炎症を起こすと腱が動く時に腱鞘に引っかかり、いわゆる「ばね指」となります。これは腱鞘に痛みがあるだけでなく、指を曲げた状態から伸ばそうとした時に、腱が腱鞘に引っかかって伸ばすことが出来ないのですが、強い力で伸ばそうとすると腱が何とか腱鞘を通り抜けるので、縮めたバネが伸びるような勢いで指が伸びることを表しています。腱鞘炎の治療は、手の使いすぎに注意してもらうことと、ストレッチや注射で良くなることが多いです。注射は何度も打つと腱が切れてしまう恐れがあるため、一般的には3回までとされており、その後も症状が続く場合は手術治療をお勧めすることがあります。

 

・しこり

手や手首にできやすいしこりがガングリオンです。これは、関節や腱などから発生する嚢胞(のうほう;袋という意味です)で、癌などの腫瘍とは異なり、内部にはゼリー状の物質が入っています。自然に大きさが変化したり、自然に破裂して無くなることもあります。どんなに大きくなっても癌になる心配はありませんが、あまりに大きくて邪魔だったり、周囲の神経を圧迫して痛みが出た場合は治療が必要になります。最初はガングリオンに針を刺してゼリーを抜きますが、約半数程度で再発します。何度刺しても再発し、症状に困ってる場合は、手術治療をお勧めすることがあります。

その他、上肢には多くの疾患がありますが、肩から指先にかけて困っている・気になることがあれば、遠慮なくご相談ください。