導入装置

導入装置

高精度放射線治療装置

当クリニックが運用している装置は、アメリカのV社とドイツのB社が共同開発したリニアック(放射線治療装置)を用いて治療を行っています。

特徴は、エネルギー6/10MVの医療用直線加速装置で、定位的な放射線治療(脳・体幹部定位放射線治療(SRT)、強度変調放射線治療 (IMRT)など)を行うために開発された治療装置です。この装置の革新的な画像誘導装置(B社)により高精度な IGRT(画像誘導放射線治療)を実現します。放射線治療では、いくら精度の高い装置を使っても、患者の位置がずれてしまえば、正確な治療は行えません。

高精度放射線治療装置では、患者の位置をX線撮影と赤外線監視カメラを使って自動的に高精度に計測可能です。これらの画像誘導から、治療部位の位置決めを自 動的に高精度に実施します。X線位置決め装置は自動重ね合わせ作業で腫瘍位置を特定します。2方向からのX線で患者体内構造を撮像することで治療位置を決 定します。1mm以下の精度で腫瘍位置を特定できることから、周囲の正常な細胞への照射を最小限に留められる事を特徴としています。

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自動画像解析ソフトは治療計画で撮像したCT画像とX線撮影で得た画像との自動重ね合わせ作業を行い、差分を計算します。6Robotic CouchX線位置決め装置の撮像画と治療計画のCT画像の自動重ね合わせ作業で得た差分量を自動的に稼動して治療部位の位置を修正し設定します。補正 は「上下」「左右」「前後」方向を1mm以下にします。「チルト」「ロール」「ピッチ」方向を1°以下の精度で自動管理します。赤外線カメラは患者の動き を治療部位の位置決めから治療中、治療終了までリアルタイムに追尾し監視します。

輪郭取得はB社製『輪郭作成専用アプリケーション』によりCTMRPETの画像を再構成し、腫瘍の輪郭や周辺正常臓器の輪郭を作成します。放射線治療 計画はV社製『治療計画専用アプリケーション』を用いて、最適な治療方法を選択します。病変部に集中して高線量を照射し、周囲にある危険臓器や正常細胞を避けた高精度の 治療計画を作ります。

On-Board Imager (OBI)

NovalisTXに装備されているOn-Board Imager OBI)を用いてCT画像を撮影することができます。CT画像では軟部組織(腫瘍)の位置を同定し位置補正を行うことが可能です。

肺がんの位置を直接同定することで、呼吸で動く腫瘍に対しても高精度な照射が可能です。前立腺がん治療において、直腸内のガスは前立腺の位置を変位させるとともに、直腸壁も高線量域に近づくため、治療効果の低下並びに有害事象(合併症)の増加をもたらします。

当クリニックでは、毎回CTを撮影することで直腸内ガス並びに糞便量を確認し、必要な場合は脱ガス・排便等の処置を取らせて頂いています。これにより有害事象の少ない高精度な照射が可能です。

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症例1

早期肺がんに対する体幹部定位放射線治療における腫瘍位置の同定

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症例2

前立腺がんに対するIGRT治療

輪郭作成専用アプリケーション

当クリニックでは、標的体積の輪郭入力と体輪郭や臓器輪郭の入力の際に、B社の高精度放射線治療専用治療計画装置である専用アプリケーションを用いています。このアプリケーションは、他の放射線治療計画装置に比べて、自動画像融合(auto-image fusion)や自動輪郭入力(auto-segmentation)が優れたシステムです。

高精度放射線治療とくにIMRTにおいては、通常の放射線治療計画と同様の腫瘍範囲の特定とその輪郭入力に加えて、周囲の健常組織の輪郭入力とその 線量制約が重要かつ必須です。したがって、IMRTでは数多くの健常組織を定義してその輪郭入力を正確に行わなければなりません。

画像融合

輪郭作成専用アプリケーションの優れた画像融合のアルゴリズムにより短時間にCT画像とMRI画像など異なるモダリティのイメージセットを正確に画像融合することが可能で、PET画像も含めたマルチモダリティのそれぞれの特長を生かした標的の特定と輪郭入力が可能です。

加えて、組織や臓器の輪郭入力という膨大な作業をアシストする標準解剖図データを用いる自動輪郭入力の機能は、IMRTの治療計画におけるルーチン作業を短縮してくれるRT Imageの優れた点です。

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肉眼的腫瘍体積(GTV)と計画標的体積(PTV)

左乳癌温存療法後約6年で、腫瘍マーカー高値のために行ったPET/CT検査により発見された、単発性骨転移のGTVとPTVの輪郭決定

X線写真による6軸位置合わせ

放射線治療位置合わせシステムでは、診断用低被爆線量X線画像を2方向撮影し、3D画像照合を行うことが可能です。また6Robotic couchにより従来の放射線治療では補正することが困難である角度補正を行うことが可能になりました。この技術を用いることで精密患者位置補正(X YZYaw, PitchRoll)が可能となり、ピンポイント照射で高精度な治療を実現できます。

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患者さま11人の頭の形状に合わせた特殊なマスク(シェル)を作製し、頭部を固定した状態で治療を行い、マスクの表面に赤外線で認識することが可能なマーカを取りつけます。

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特徴2

マーカを赤外線カメラで認識することで、迅速かつ高精度に位置補正が可能です。

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特徴3

X線画像を2方向撮影し、3D画像照合を行い位置誤差を計算します。

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特徴4

6Robotic couchにより位置補正並びに角度補正の両方を行い、1mm/1°以下の精度で治療が可能です。

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シェルによる固定

  1. CT寝台に頭部用の固定具をセットし、枕にはまるように寝ていただきます。
  2. 固定具の上で、左右対称になるように頭の位置をセットします。(自発的に頭を動かさないようにお願いしています。)
  3. 頭部が動かないように熱可塑性の固定具で固定します。
  4. 熱可塑性のシェルが室温まで冷えて固まったら作製終了です。

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