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乳がんの傾向について

乳がんが増えています

日本における女性の乳がん発生率は、欧米にくらべると1/4~1/5と比較的少ないとされてきました。
ところが最近、日本でも乳がんの発生率が年々増加しています。

40~64歳における日本女性のがん死亡数の第1位は、乳がんです

2018年の乳がん死亡数は14653人にのぼります。2017年の乳がん罹患数は91605人で、実に
女性の9人中1人が一生涯の間に乳がんになると言われています。

日本における乳がんの罹患者数と死亡者数の推移

乳がんの発生は20代からみとめられ、20代後半から増加し、40代の女性にいちばん乳がんが発見されています。つまり20代から「乳がん年齢」なのです。

早期発見のためにも、マンモグラフィ超音波を使った乳がん画像検診を受診されることをお勧めします。20代でも気になる症状がある場合には、専門の医療機関で検査をすることが必要です。不安を抱えるよりもしっかり検査をして安心されることをお勧めします。

でも、乳がんが一番かかりやすい がん だからと いって、怖がる必要はありません。乳がんはかかりやすいけれど早期に発見できれば死にいたらないがんでもあるのです。
現在のところ、決定的な予防法はありません。年1回の乳がん画像検診を受診して早期にがんを発見することが一番の予防法と言えます。早く診断すれば、怖いものではありません。

乳がんの治療

乳がん治療の大きな柱として外科療法、化学療法、内分泌療法、放射線療法の4つが挙げられます。
いずれかに偏ることなく、状況に合わせてこれらを適切に組み合わせながら進めていきます。

乳がん診療はガイドラインに沿って行われます

乳がんには、比較的おとなしいものから、増殖が活発なものまで、様々なタイプがあり、再発のリスクが異なります。乳がんの初期治療ではそれぞれのタイプに応じて、必要な患者さんに適切な治療を実施し、不要な苦痛を与えないようにするために、世界共通の考え方をもとに効果的な治療が推奨されています。

エビデンスは患者さんの意向や価値観を反映させて初めて価値が生まれます。一方的な押しつけにならないよう患者さんとよく話し合いながら柔軟に方針を考えていくよう努めています。質の高いエビデンスが存在しない場合でも、重要と考えられるものは慎重に吟味しながら、診療を行っています。

チーム医療を重視します

医師(乳腺外科医、放射線診断医、病理医など)のみならず、コメディカル(看護師、放射線技師、臨床検査技師、薬剤師など)がそれぞれの専門性を生かして診療にあたることが大切と考えています。

がん診療に偏らず、総合病院としての特性を生かせるよう配慮しています。

手術

がんの治療というと、手術を連想される方が多いと思いますし、手術が治療の中心であることは医療が進んだ現在でも変わりません。

手術の原則はもちろん がん を全て取り除くことにあります。その中で、比較的元通りに近い形態で乳房が残せると考えられる場合に乳房温存手術が行えると考えています。

温存率という数字を競って乳房温存手術にこだわることなく、患者さん一人ひとりの病態やニーズに合わせ、複数の選択肢の中から、最も適した治療法を提案することが大切だと考えています。

乳腺外科,手術,岡本譲二